キッチンとリビング家具は「配置・構成及び素材・デザイン」を統一せよ
いわゆるLDK空間において、壁付けI型キッチンであれ対面式キッチンであれ、キッチンは料理をする機能性のみならず、LDK空間の心地よさやデザイン性を決定付ける重要な要素です。ですから、キッチンに拘る方が多いのかと思われます。
しかしながら、重要な要素ではありますが、LDK空間の心地よさやデザイン性を決定付ける重要な「1要素」にすぎません。
LDK空間において、キッチンだけでなくダイニングセット、TVボードや収納家具、リビングソファ、ラグ、壁面材・床面材などそれぞれが重要な1要素であり、それらすべてが統一された構成・デザイン・素材感をもって初めて、生活しやすく心地よいLDK空間つまり理想の住生活空間が実現します。
とかく、キッチンはキッチンで、リビング家具がリビング家具で納まるサイズや単体の良し悪しだけ見て選定しがちですが、「構成・デザイン・素材」を統一する上での注意点などについて具体的なプランに基づきお話したいと思います。
▽キッチン関する記事も併せてご覧ください。
【目次】
1:キッチン・リビング家具の配置、構成について
3640x7280 16畳の空間にLDKを配置する平面図で考えます。対面式キッチンにする場合キッチンとキッチンボード(収納家具)の配置は下記のようになります。
【図1】
さて、この場合TVボードや壁面収納、ソファセットの配置はどのような形がいいでしょうか?
下記図面のような配置の場合、リビングソファで寛いでいる人と、キッチンで料理している人が対面ないし横向きで顔を合わせられるので家族のコミュニケーションを取りやすい構成ではあります。
【図2】
LDKへのアプローチやソファからの見え方の観点から言うと、TVボードがローボード(高さが450㎜程度の家具)の場合はTVボードの主張が小さく、壁面が統一されラインで見えるのでLDK空間の広がりは疎外されません。
しかし、収納量を増やすために天井までの壁面収納にするとどうでしょうか?
LDK空間を構成する外郭が青のラインになり凸凹になり、青の外郭ラインの素材も「(赤ラインの)壁面仕上げ」と「(緑ラインの)家具仕上げ」の2要素になります。またピンクの部分は死にスペースとなってしまい、LDK空間としての一体性や空間の広がり感は損なわれしまいます。
【図3】
TVボードを中心とする空間構成、視点を集めるデザインにはできますが、キッチン側とは統一感を得れないという事です。
収納量を確保するために、TVボードを天井までの収納に変更したわけですが、キッチン側まで伸ばし、LDK空間を構成する外郭ラインを合わせ、素材も統一してあげれば、壁面収納が増え床スペースは減ったとは言え、LDK空間としての一体性や空間の広がり感は確保されます。
【図4】
図面5のような 別のTVボード、壁面収納、ソファセットの配置ですとTVボードがローボードであれ天井までの収納であれ、LDK空間を構成する外郭ラインは壊れないので問題ありません。但し、TVに向かうソファに座る人と、キッチンで料理とする人とのコミュケーションは取りづらくなります。
【図5】
次に、対面式でなく、壁付とアイランドのⅡ型キッチンの配置例で考えて見ます。この場合はTVボードやソファセットの配置は下記が一択というのは上記を読んでいただけれなご理解できると思います。
【図6】
下記のような配置であれば、コミュニケーションも取りにくく空間の外郭ラインも統一されません。
【図7】
実際のプランニングでは、入り口ドアの位置、外壁窓の位置等の制約を受けるのですがキッチン、リビング家具(TVボード、収納家具、ソファ)の配置は、コミュニケーションの取り易さとLDK空間を構成する外観ラインと素材の統一が図れると注意して決定するのが望ましいです。
2:キッチン・リビング家具の素材とデザインの統一
LDK空間のインテリアを考える際、誰しもまずはインテリアスタイル、つまりモノトーンなアーバン、クラシカル風、白を基調とした北欧スタイルなどのイメージを持ち、それに合うキッチンや家具を選定に入るかと思います。
但し、モノトーンの「黒」と言いましても、鏡面の黒、艶無しの黒、ざらざらとした質感のある黒と、木目の黒・・・仕上げ素材は様々です。
組み合わせを探し自分なりのインテリアコディネートするのも楽しみの一つですが、LDK空間のデザイン性を突き詰めるなら、統一した素材、統一されたデザイン思考により選定された素材にすべきなのは言うまでもありません。
例えば、先ほどの壁付とアイランドのⅡ型キッチンの配置例
【図6】
をCGにしたのが下記です。
・リビング家具・キッチン家具の統一・融合
素材を統一するだけでなく、キッチンとリビング家具を一体でデザインしたものですがキッチンカウンターとTVボードカウンター、ダイニングテーブルを同じ黒系のクォーツ(人造石)にし、家具扉も同じ木種・木目にする事で LDK空間が一体になっていると感じていただけるかと思います。
素材を統一させる、もっと言えば一体でデザインする効用は、LDK空間の一体性・デザイン性をあげるだけでなく空間効率も向上させます。どういう事かと言いますと、仮にキッチン部分とリビング家具が違った素材でどこからがリビング家具でどこからがキッチン家具と別れているとしましょう。
その際、それら家具の前のスペースもその影響で、ここはキッチンスペース、ここはリビングスペースと暗示的に区別して認識し区別して使うようになります。結果的に空間効率は落ちます。
逆に、本CGのように、素材を統一し、一体ととしてデザインし 吊り戸がキッチン用なのかリビング用なのかわからないデザインであれば、どこからがキッチンでどこからがリビング家具なのか「あいまい」にしておけば、スペースもどこからがリビングでどこからがキッチンなのか認識されず、それぞれの視点からは広く感じ空間効率があがるという事です。
・キッチン・リビングの壁・床仕上げの統一
キッチンやリビング家具を統一したわけですから、床材・壁材も統一すべきです。統一しないといくらキッチンとリビング家具に統一性も持たせても意味がありません。
「リビング周りはいいけど、キッチン周りはなにかと汚れやすいから汚れに強い素材で違う素材を選定する」「コンロ前壁面だけ不燃素材にする」など安易に決めてしまってはLDK空間が台無しです。
CGはタイル仕上げにしてますが、タイル程コストをかけなくても水や汚れに強い他素材はありますし、汚れや場所にはキッチンマットを敷くという方法もあります。
またコスト的に全面は無理で必要なカ所だけにするにしても、それが「仕方なしにそうしたんだな」と見えるのでなく、さらに良く見える様に、つまり「機能性ではなくデザイン性でそうしたのだな」と見えるようにすべきです。それがデザイン的処理、デザインの腕の見せ所になります。
話は横にずれますが、キッチンの生活感や汚れを特に気になさる場合は 本記事のような統一されたLDK空間でなく、対面式であれ建築腰壁でキッチン空間とダイニング、リビング空間を分けたプランが望ましいです。
3:リビングソファセット、ダイニングテーブルセットについて
LDK空間を構成する、床、壁仕上げ、キッチンやリビング家具(壁面設置家具)の選定で注意すべき点、「配置・構成」と「素材・デザイン」についてご説明してきました。
ここまで考慮し先ほどの配置構成さえ守れば、LDK空間を構成する要素でなく「置物、オブジェ」として認識されるソファセットやダイニングチェアについて、素材性やデザイン性を選ぶというわけではなく、もともとのインテリアテイストに合う好みの家具を選んでいただいても大丈夫です。
逆に言えば、椅子やラグ、雑貨類は、LDK空間を構成する、床、壁仕上げ、キッチンやリビング家具のデザイン・選定で うまくいかなかった部分(例えば、スペースの関係で変な隙間空間だできた、一だけ壁素材が違ってしまった等)を補うために、見せたくない部分を隠したり視点誘導する小物として有効です。
但し、ダイニングテーブルは高さも720㎜ほどありサイズも大きく、キッチンカウンターとの関係性も重要です。先ほどのCGはキッチンと一体型のダイニングテーブルにしておりますが、ダイニングテーブルもサイズや配置によってはLDK空間を構成する要素となりえますので注意が必要です。
キッチン一体型でダイニングテーブルを組み込んでしまうか、別のテーブルにするとしてもカウンターの素材を同じにするなど、デザイン的・統一性が重要になってきます。
4:まとめ
以上、LDK空間を一体化し空間効率・デザイン性をあげるためには、キッチンやリビンフ家具、ダイニングテーブル、壁素材、床素材を総合的に関係性を見て選定・デザインする必要があるという事についてお話してきました。
これを参考に読者の方が描く「理想の住生活空間」を手に入れる手助けになれれば幸いです。
キッチンに関する下記記事も合わせてご覧ください。
WAILEAはお客様の理想の住空間を実現するために、オーダーキッチン・洗面化粧台の制作、インテリアデザインを賜っております。ご相談は無料ですのでお気軽にお問い合わせください。
東京・表参道、大阪・御堂筋にショールームがございます。是非、お気軽にお立ち寄りくださいませ。