オーダーキッチン機器について~コンロ編~
新築でキッチンを設置する際、収納の形や天板の素材などを考えると同時に機器類の選定も必要となってきます。調理の一番のメインとなるコンロはどのように選んでいけばいいのでしょうか?
▽キッチン関する記事も併せてご覧ください。
【目次】
1:IHとガスコンロのメリット・デメリット
新居やリフォーム、または今お使いの調理機器が壊れたので入れ替えを検討している方はIHクッキングヒーターとガスコンロどちらを選ぼうか迷ってる方もいるのではないでしょうか?それぞれメリット・デメリットがありますのでそれを知った上で検討されると実際に調理するときに使用感のギャップが生まれずに済みます。
・IHクッキングヒーター
IHクッキングヒーターとは電磁調理器と言い、内部に配置されているコイルを発熱させて加熱する機器です。
【メリット】
・ワークトップがフラットなので掃除がしやすい
・鍋底だけを加熱するので周りが熱くならない
・ガスコンロに比べてお湯を沸かすのが早い
・ワークトップから鍋を放すと加熱がストップするので消し忘れの心配がない
・水蒸気と油が融合して生じるベタベタとした汚れが発生することがないのでガスコンロに比べると油や汚れが飛び散りにくい
・二酸化炭素が発生するため室内の空気をクリーンに保てる(人体に有害な窒素炭化物が発生しない)
・立ち上がりが早く熱しやすい為すぐに強火にすることが出来る
・火力が液晶画面に表示されるので屈んで火加減を調整する必要がなく楽な姿勢で調理が出来る
・火が出ないので火事の心配がない
・とろ火のような弱い火力で調理しているときに気づいたら消えているということがないので火加減を気にせず調理を続けられる
【デメリット】
・IH専用の鍋やフライパンが必要な場合がある
・停電のときに使えない
・内線規程で電気の容量が決められているためコンロを同時利用する再、最大火力が使えないことがある。
(使いすぎるとブレーカーが落ちてしまうことがある)
・鍋が直接ワークトップに触れていないと火力を伝えることが出来ないので鍋振り料理に向いていない。
(近年では光センサーなどを使用し、鍋振りを可能にしている製品もある。)
・使用直後は天板がかなり熱いので注意が必要。使用後にうっかり天板に触れてしまうと火傷してしまう可能性もある。
(蓋ができるタイプもあるので家族構成によってはそういった機種を検討する必要がある。)
・近代は昼間の時間帯が割高なので昼間に料理することが多いご家庭では電気代がかかる可能性がある
・ガスコンロ
ガスコンロは実際に直火で加熱し、調理をする機器です。
【メリット】
・フライパンをゆすったり、卵焼きなどを作るときに傾けての調理が出来る
・鍋の側面も熱くなるので中華などをあおりながら調理ができる
・IHよりも強い火力で調理することができ、一度に広範囲に加熱することができるので短時間で満遍なく火を通すことができる
・調理器具を選ばない
・昼夜問わず料金が一緒なので時間を気にせず使用することができる
・五徳がついているため頑丈で壊れにくい
・停電したときでも使うことができる
(ガスコンロも点火の際に電気を使います。電池と電源のタイプがあり、電源タイプでも万が一のときは乾電池で点火できる商品もあります。)
【デメリット】
・鍋やフライパンの横から熱が逃げるので周りの空気が熱くなる
・側面が熱いので油煙が出やすく、レンジフードが汚れやすい
・火事や火傷の心配がある
・五徳があるのでIHに比べると掃除がしにくい
2:コンロのサイズ
コンロのサイズはガスコンロ、IHともに60㎝(標準タイプ)、75㎝(ワイドタイプ)どちらも三口の製品でメーカー規格として共通化されています。これは天板幅を表しており、グリル(魚焼きグリル)の大きさのことではありません。75㎝のサイズは大きなお鍋をよく利用する方や3つのバーナーをフル活用されるような場合におすすめです。お鍋やフライパン同士がぶつからず、お鍋を置いておくスペースもあります。
しかし、コンロはシステムキッチンの一部ですので天板が広い分、調理スペースが狭くなるデメリットがあります。IHの場合は天板が熱くなっていない状態であれば作業スペースの延長として使うことも出来ますが、ガスコンロの場合はそういったスペースにも出来ません。
60㎝のサイズは特に大きなお鍋を使わない場合やバーナーを同時使用することがあまりない家庭であれば十分かと思います。調理スペースも広く取れるため60㎝の標準タイプは人気があります。
消防法でレンジフードの幅はビルトインコンロの幅よりも狭くしてはいけないと定められているのでレンジフードが60㎝の場合は60㎝のコンロしか設置出来ませんので注意が必要です。
3:設置の際の法的基準
コンロによる火災は住宅火災の原因の第一位を占めています。火災を予防するためにはコンロの正しい仕様と維持管理が大切です。
・揚げ物調理をするコンロは調理油加熱防止創氏を設ける事
揚げ物調理をするコンロは調理油の温度が過度に上昇した場合に自動的に燃焼を停止させる装置を設けることが定められています。平成20年以降に販売された製品をコンロ全口に搭載されています。(一口コンロを除く)IHでは揚げ物コースを使用しましょう。
・コンロの近くに燃えるものを置かないこと
コンロ等の厨房機器は可燃物(壁や吊り戸を含む)から一定の距離を保たなければならないことが定められています。ガスコンロもIHもレンジフードのグリスフィルターまで80㎝以上の距離を開け、吊戸棚は防熱板があれば80以上、なければ100㎝以上開けなければなりません。また、周囲はガスコンロの場合コンロから15㎝以上、IHの場合は機器の外周から10㎝以上離さなければなりません。
・レンジフードやコンロとその周囲は定期的に清掃すること
レンジフードやグリスフィルターについては清掃を行うことがコンロとその周囲、レンジフードフードの周囲については常に整理と清掃に努めることが定められています。レンジフード内部に油脂が溜まっていると換気性能が低下する場合があり、コンロやレンジフードに油脂が付いていると着火して火災になる危険があります。
4:ワークトップの素材
IHのワークトップは液晶化ガラスですが、ガスコンロには色々な素材のものがあります。
・ガラス
現在もっとも人気があり、主流となっています。天板自体が強化ガラスでできていますので見た目が美しく、耐久性、耐熱性に優れています。ガラスなので汚れが焦げ付きにくく、清掃性にも優れています。こまめに清掃することで長期間使用しても綺麗な状態が保てます。ただし、強化ガラスといえ、重いものを落とした時にヒビが入ったり、割れる可能性がありますので注意が必要です。
・ガラスコート
ガラスコートは硬質ホーローにガラスコーティングした天板です。本物のガラスに近い光沢と美しい輝きがあります。表面がガラス質なため清掃性が高くホーローなので強い衝撃を受けても割れる心配がありません。ガラストップより安価で購入することができます。しかし、年数が経つと光沢がなくなります。また、焼き付けや焦げを落とすスクレーパーは傷がつくため使用することが出来ません。
・ホーロー
ホーローとは鉄板を釉薬でコーティングしたもので、しっとりとした落ち着いた艶があります。鉄板を使用しているので丈夫で耐久性に優れていますが、清掃性においてはガラスに劣ります。また年数が経ってくると表面塗装がはがれ、そこから錆が発生する可能性があります。リーズナブルな価格帯のものが多いのでお値段重視の人におすすめです。
・フッ素コート
鉄板にフッ素のコーティングが施されています。フッ素コーティングは油汚れや吹きこぼれ等の汚れや焦げ付きを防止できます。お手入れは簡単ですが、こすったり傷がつくとコーティングがはがれやすいのでスクレーパーやタワシなどを使った清掃は出来ません。
・ステンレス
天板がステンレスで成形されたもので主に業務用ガスコンロに採用されています。頑丈で錆にくく、耐久性に優れています。しかし、ステンレスは熱で赤茶に変色してしまったり小傷がついたりしますが使い込むと味のでる素材です。
5:魚焼きグリルは本当に必要?
日本製のコンロのほとんどのものには魚焼きグリルがついています。IHの場合、上下のヒーターの熱で食材を焼き上げます。電気容量の制限によりコンロ使用時はグリルが同時に使えない場合があります。
ガスコンロの場合、上下のバーナーの直火と温められた空気が熱となる対流熱のW加熱で食材を包み込むように焼き上げます。
・グリルの種類
水有り片面焼きグリル
グリルの底に水を入れて使用し、片面のみ焼けるタイプ
水なし片面焼きグリル
グリルの底に水を入れず使用し、片面のみ焼けるタイプ
水なし両面焼きグリル
グリルの底に水を入れず使用し、両面を同時に焼けるタイプ
グリル部の水あり、水なしの違いは言葉の通りグリルを使う前に水を入れるか入れないかの違いです。水を入れる作業と捨てる作業があり水が入ったグリルをシンクからコンロまで持って移動しなければなりません。掃除も受け皿と網を洗う必要があり、面倒に感じることがありますが水なしのものに比べると価格はお安くなります。グリルの使用頻度が低い方にはオススメです。
片面焼き、両面焼きの違いは、片面焼きは下からのみ熱が出るので調理途中にひっくり返す作業が必要となります。片面焼きの方が手間は少ないですが、焼きあがるまでひっくり返すことが出来ないので焼き網にくっつきやすい場合があります。
網の掃除が面倒に感じる人も多いかと思いますが、今では網のない商品もあります。また、庫内の掃除も大変かと思いますが凹凸がなく底面、側面がフラットになっているものもあります。他にも深めの皿に設計されており、油跳ねが少なく庫内の汚れを抑えられるものもあります。網ではないので変なこびりつきもなく、皿をはずしてスポンジで丸洗いすることが出来ます。
他にもグリルなしのコンロもあります。(リンナイ:ドロップインコンロ)
魚等を焼くときはフライパンやオーブントースター、電子レンジのオーブン機能を使えばグリルを使ったときと同じくらい美味しく焼くこともできます。コンロ上部についているグリルの排気口から野菜くずが落ちてしまい取り除くことが出来ずそのままになんてこともあります。また、コンロからの油跳ねなどで汚れてしまいお手入れの必要がありますがグリル無しのコンロを選べばそのストレスから解放されます。
6:コンロのメーカーについて
・リンナイ(デリシア)
リンナイは愛知県名古屋市に本社を置く、給湯機器や厨房機器を扱う日本のメーカーです。リンナイのデリシアはガラストップでフレームレスとなっているためデザイン性にも優れています。
他にもイージークリーンという天板が熱くならない仕様になっているので焦げ付きにくくお手入れが簡単です。グリル庫内に搭載された専用バーナーがニオイと煙を焼き切ってくれるので排気口から出るニオイと煙をカットしてくれます。リビングと一体になったキッチンや気密性の高いマンション内にオススメです。リンナイではガスコンロだけを取り扱っています。
・Miele(ミーレ)
ドイツの家電メーカーです。家電メーカーなので主にIHを取り扱っています。コンビセットというのにするとバーベキューグリルや鉄板焼き、フライヤーなどをつけることが出来ます。
ミーレのIHの特徴はお掃除のしやすいセラミックガラスで出来ています。飛び跳ねた汚れなどを簡単にふき取ること出来ます。
調理ゾーンの外側が熱くなりにくいので、調理中の吹きこぼれや煮こぼれが焦げ付きにくいのでお手入れが簡単です。
日本は壊れたら買い替えるという発想なのに対し、ドイツは修理しながら長く使い続けるという考えなので耐用年数は20年を想定して作られています。モデルチェンジが少なく、20年以上前に買った型でも部品が取り寄せられることがあります。日本製のものより価格が2倍~3倍となりますが10年で2~3回買い替えるよりも経済的と考える人もいます。大切な家具のように、修理しながら長く愛用していくのがドイツ家電の素晴らしさです。
ミーレのIHは鍋のサイズを自動認識する機能がついています。そのため、エネルギー損失がほとんど発生しないというメリットがあります。調理ゾーン以外の周囲が熱くなりにくいので安全性は非常に高いです。
・GAGGENAU(ガゲナウ)
ドイツのビルトインキッチン機器の老舗ブランドです。洗練された美しさは他とはくらべものにならないほどでこれがあるだけで「キッチンの格があがる」と言っても過言ではありません。まずはハイカロリーバーナー。
日本のガスコンロは最大4.2kWが一般的なのに対し、ガゲナウは最大6kWも火力があります。本格的な料理を作るのに十分な火力です。バーナー部分は耐久性の高い真鍮で作られています。カスタマイズできるため、IHを一緒に導入する方も。炒め物はガスコンロ、煮込み料理はIHを使うなど、料理によって使い分ける事が出来ます。ガゲナウの中でも注目したいのがバーベキューグリルです。
溶岩石の遠赤外線で焼き上げるため、炭火焼のようにふっくらとした仕上がりになります。カバーをかぶせるとフラットになるので使わないときは作業台として使用することが出来るのも嬉しいポイントです。
IHには磁石式のダイヤルがついていて、使わないときは外しておくことが出来ます。外せば作業台としてフラットに使うことができ、清掃性もぐんと上がります。また、通常のIHの操作はボタン式が多く、温度の上げ下げを一回一回ボタンを押して操作しなければなりませんがダイヤルをくるっと回すだけなので温度調整をすることが出来ます。素早く操作が出来るので温度調節が間に合わず吹きこぼれてしまったということがなくなります。
・AEG(アーエーゲー)
ドイツの家電メーカーです。ガスコンロとIHを販売しています。
ガスコンロはドイツ・ショット社製の耐熱セラミックガラスを採用しており厚さ4mmと薄型でスタイリッシュな印象に。ツマミが上部に配置されているので、ワークトップ下部のスペースを収納など有効活用することが出来ます。また、2口のガスコンロと組み合わせることで3口のガスコンロにすることが出来たり、IHと組み合わせると火力が必要な時はガス、時間をかける煮込み料理などはIHなど料理によって使い分けることが出来ます。
清掃性を重視した高効率外炎バーナーを搭載しており、火が外向きに出るので内側に煤が出るということがありません。セラミックガラスのワークトップはふき取るだけでお手入れが簡単です。
海外製ですが、消し忘れ消化機能がついており約2時間で自動消火してくれます。また、調理油加熱防止装置で鍋底の温度を見張り、調理油が危険温度になる前に自動消火します。他にも立消え安全装置付きなので風や吹きこぼれなどで火が消えると自動的にガスが止まります。吸気口はトッププレートと一体感があるウィング状で煮こぼれや食材のカスが入ってしまう心配がありません。カバーは取り外しが出来るので、油汚れなどのお手入れが簡単に出来ます。
4口タイプはステンレストップで質感が美しくデザイン性に優れています。全面五徳は存在感があり、鍋を持ち上げずにスライで移動が出来ます。4口全てにSiセンサーが搭載しており、日本の安全基準に対応しています。
IHはマークのある部分に鍋を置くとサイズに応じて最適なゾーンだけを加熱してくれます。鍋の周りが熱くならないので安全に使用できます。3口のIHは国内メーカーのIHと開口寸法が一緒なので現在国内メーカーのIHを使っている人も入れ替えがスムーズに出来るのでおすすめです。
・ASKO(アスコ)
スウェーデンの家電メーカーです。1口、4口、5口のガスコンロを日本では販売しています。
アスコのガスコンロのハイカロリーバーナー部分では最大火力にするとゴーという音と共に熱さが沸き上がります。ハイカロリーバーナーには中華鍋リングがついており、五徳の上下二つに分ける事が出来ます。鋳鉄製の五徳は大鍋や鋳物鍋などの重さも受け止め、重厚感のあるデザイン。強化ガラスの黒天板は汚れも目立ちにくく、こびりつきも拭き掃除で取れるので清掃性にも優れています。
コンロは調理のメインとなる大切な機器です。ガスなのか電気なのか、国内メーカーなのか海外メーカーなのか実際の生活の中で何口あればスムーズに調理が出来るのか天板の素材によってデザイン性、清掃性も違います。
今までの生活の中で不便だったことや改善したい点を考えてこれからの生活では何が必要か見つけて上手に選択したいですね。WAILEAではお客様の生活に合わせて機器の選定もさせていただきます。
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