アイランドキッチン~斜めアングルからの見た目の重要性~
【目次】
2:その他の側面デザイン
・側面をカウンターと同じ素材にする方法
・扉と側面パネルを「トメ」収まりにする方法
・ダイニング側にカウンター跳ねだしの場合、側面にも跳ねだすという方法
1:アイランドキッチンの構成
アイランドキッチン(片側壁設置のペニンシュラ型も同じ事です。以降アイランドキッチンと記載します)の構成は、キッチン側のキャビネットは壁付きI型キッチンと同じでD=65㎜のキャビネットであり、主に使い勝手重視で収納や扉割りなどデザインされ、ダイニング・リビング側はカウンターD=1000であればダイニングカウンターとして利用できる様、カウンターが350㎜跳ねだしたり(写真1)、収納を増やす為にD=350㎜のキャビネットがある(写真2)という組み合わせが一般的になります。
さて、このような構成の場合、キッチンの正面(キッチン側)、キッチンの背面(ダイニング側)、側面 という言われ方をする通り、あくまで意識してデザインされるのは、正面と背面であって側面は必然的に扉と同じ柄のパネル(側面パネル)を貼って(写真3)おしまいという事がほとんどです。
余談になりますが、側面パネルを貼る場合、機能的、構造的に必要ではないのですが、床からカウンターまでをすべて側面パネルにするのではなく、上記事例のように背面や正面と同じようにカウンターと扉の隙間を同じに、巾木部分も同じケ込みをとったほうが「取ってつけた感」は薄まりデザイン性はあがります。
2:その他の側面デザイン
・側面をカウンターと同じ素材にする方法
「取ってつけた感」は薄まり見た目はよくなりますが、これもリビング側(キッチンの裏面)を正面から見て、アイランドキッチンであれば「門型」、ペニンシュラキッチンであれば「L型」のカウンターラインを強調したデザインが、主目的で側面の見た目を主とした手法ではありません。
・扉と側面パネルを「トメ」収まりにする方法
扉勝ちや側面パネル勝ち、いわゆる「イモ」収まりですと、「正面」と「側面」の関係性が生まれてしまいます。扉も側面パネルを45度にカットし「トメ」収まりにすると、「正面」と「側面」の関係性は消失し両者対等な関係になり、斜めからの見た目がよくなります。また、形を構成する「線」が少なくなるので、よりすっきりとしたモダンで洗練されたテイストにデザインが振ります。
ここで忘れてはいけないのが、必ずしも「トメ」収まりがデザイン的に素晴らしいという事ではないです。成的・枠組み的要素を出して「和的」や「クラシカル風」「カントリー調」などにしたい場合は「線」が多くでる「イモ」収まりの方がいいです。
オーダーキッチンを制作する場合どのような雰囲気、デザインにするかにより、細かいディテール、収まりが重要ではという事です。
・ダイニング側にカウンター跳ねだしの場合、側面にも跳ねだすという方法
側面からの見た目 何もないキャビネットのボリューム感は薄まりますが、これも側面の見た目を主とした手法ではありません。他には、メインで見せる方向でないからこそ、アクセントとしてあえて側面パネル扉の柄と色を変えるという方法もあります。
いずれも、「側面」の見た目を向上させる手法ではあるのですが、メインとなる正面、裏面があって側面を処理したという流れは変わりません。
3:「見られる面」として立体的にデザインする方法
さて、ここからが本題なのですが、LDK空間のキッチンの配置により「側面」が見えにくい、気にならないのであれば特に問題はありません。例えば、下記のような直列にキッチン、ダイニング、リビングと並ぶ配置です。
しかし、キッチン、ダイニングと並んで横にリビング空間があるレイアウトの場合、リビング方からキッチン方を見ると側面がよく見えるのでデザインする際注意が必要です。
本来、考えられて作られたキッチンの正面、背面を正対してみる事があまりなく、斜め方向から見る事が多くなりますので、この配置時におけるキッチンのデザインをする際は「正面」「背面」を主として考えデザインし、残りの「側面」を後処理という流れでは駄目で、あらかじめ立体的に斜め方からの見た目を意識してデザインする必要があります。
それに対する一つの解決案は、キッチン「正面」は機能的理由を優先させてデザインすべきなのですが、「背面」とその付随の「側面」という捉え方を辞め、両方「見られる面」として立体的にデザインする事です。
そのような事例が下記のキッチンです。
両側にガラス戸を設けて、「正面」「側面」の立場をなくし、両方が「正面」であり斜めからの見た目を考慮したデザインです。ガラス扉も両方から開くようになっており、どちら側からもアクセスする事が出来ます。
角や斜め方向からの使い勝手、見た目をメインとしデザインしましたが、リビング側からの正対しての見た目もガラス扉と木製扉の割り付け(幅)を同じにしている効果で、特に違和感なくデザイン性も高いのではないでしょうか?
また、リビング側(斜め方向)からの「見え方」だけでなく、リビング在籍時の「機能」としても果たせます。つまり、ガラス戸扉ですので、中に飾るグラスを演出する為にLED照明を入れてショーケース的にしているのですがグラスを演出するだけでなく、リビング使用時にリビング側の照明は消灯し、このキッチンガラス戸内の照明だけ点灯すれば間接照明的な役割も果たすという事です。
その他の利点として、廊下方からLDK空間に入ってくる時もの視線でダイニングテーブル方がガラス腰に見えますのでキッチンキャビネットのボリューム感が薄れ、LDK空間全体として広く感じる効果もあります。
アイランドキッチンを正対して見える配置でなく、斜めからの見える配置の場合、キッチンのデザインも斜めからの見た目を意識してデザインしないと駄目、言い換えれば「キッチン」だけを見て、デザインする・選定するのだけでなく、どのような配置になるのか空間全体を見て考え、「キッチン」をデザインする・選定する事が重要だという事です。
専門家でない人がキッチンメーカーのショールームに訪れ、そのキッチンが家の間取り・配置においてどのような見え方・機能性を果たすのか見極めるのは難しいのですが常に意識される事をお勧めします。
4:壁面に設置する収納家具の場合
また、今回アイランドキッチンを例にとりご説明しましたが、壁面に設置する収納家具(キッチンのカップボードやリビングのTVボード等)も間口いっぱいに壁面収納ならば「正面」しか見えませんが問題ないです。
しかしながら、壁面長さに対して家具長さが小さい、つまり壁面が見えてくる場合ですが、家具の側面も見えてくる事になりますので、側面・斜めからの見え方を意識してデザインすべきです。(カップボードの場合、多くは冷蔵庫スペースでこのように側面でてきますが、冷蔵庫を置いてしまえば見えないので特に意識する必要はありません)
このような家具配置の場合、先ほどのアイランドキッチンで説明した通り、側面の見え方、斜め方向からの見え方が重要になってきます。
下記事例は玄関収納ですが、側面にオープンな棚を設け「側面感」をなくした事例
下記事例は、キッチンの壁面収納ですが、立体的にでなく、側面方だけにガラス戸扉にし「側面感」をなくした事例
5:まとめ
家具の専門用語で、カウンターなど上部の水平の板を「天板」 背面の板を「背板」下側の板を「底板」側面の板を「側板」といいます。 つまり、「正面」と「側面」そして「背面」という分け方を無意識にしており、家具は立体構造であるにも関わらず全方位からの見た目(すべて正面でなく)や機能性ではなく、一方向の見た目をメインに考えてデザイン・制作される事が多いです。
しかしながら、上記でご説明した通り、家具の配置により1方向だけの「見た目」や「機能性」だけでは成立しない場合が多々あります。その場合は「正面」「側面」という捉え方は辞め全方位的に見てデザインする必要がある、家具単体だけでなく家全体を見てデザインする必要があるという事です。
これからご自宅の新築やリノベーションでキッチンや家具を考えられている方は、その点意識されデザイン・家具製作依頼されるのがよろしいかと思われます。
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