キッチンプランニング〜機能・場所を限定しないキッチンデザイン
いわゆる「LDK」とは、リビング、ダイニング、キッチンを一つの空間にした住宅プランニングで、これにより対面式キッチンが主流の流れになりました。
それにより広々とした空間が手に入り、キッチンで料理している人とリビングで寛いでいる人との視界が通り、コミュニケーションが出来きるようになり、LDK空間が住宅、家族の中心の場となっております。
しかしながら、多くはそれぞれの単一用途を持つスペースが一体になっただけであり、様々なライフスライルに応じて自由で柔軟に対応出来るフレキシブルなスペースではなく、そのプランニングにより生活自体が制約されているのではないでしょうか?
ライフスタイルが多様になった現在、様々な人の様々なライフスタイル及び将来的なライフスタイルの変化に対応できる、スペースの用途を限定しないLDKプランニング、キッチンプランニングについて考えていきます。
▽キッチン関する記事も併せてご覧ください。
【目次】
1:生活水準向上に伴うLDK空間までの住居プランニングの変遷
3:スペースの用途・機能を限定しないキッチン及びプランニング
1:生活水準向上に伴うLDK空間までの住居プランニングの変遷
日本国内においてLDK空間が誕生するまでの住宅プランはどのようだったのか見ていきます。
K
1940年台ごろまで、スペース(区切られた部屋)は居室(4.5畳〜6畳)と台所(2畳〜3畳)と区別のみあり、食卓、居間、寝室の機能別にわけた住宅プランはありませんでした。
小住宅の間取りおおいて、「2K」というような 台所と居室2部屋というプランニンが多く、一つの居室は 畳式にちゃぶ台を置いた、家族皆が寛ぐ「リビング」であり、食事をする「ダイニング」であり、ご両親が寝る「ベットルーム」であったわけです。
一つの居室を多様な用途でフレキシブルに使っていたという見方も出来ますが、実際のところ仕方なくそうしていたというところでしょうか。
DK
1951年に建設省が定める「公営住宅標準設計」において、建築家 西山夘三の研究に基づき、人間らしい生活のため食事をする場所と寝る場所は分けるべきという「食寝分離」とプライバシーの観点から両親と子供の寝室は分けるべき「就寝分離」この二つの原則から、51C型という間取りつまり、台所を広めににしてそこで食事をするプランが提唱されました。ダイニングキッチン、DK空間(4,5畳〜6畳)の登場です。
それまで、畳式の居室に「ちゃぶ台」をおいて家族で囲んで食事をしていましたが、ダイニングキッチン空間に様式のテーブルと椅子を置いて食事をするというライフスタイルに変化しました。
LDK
時代は進み高度成長とともに生活水準も向上し、もっと広い空間を、家族が寛げる専用の部屋をという流れから登場したのが、ダイニングキッチンより大きい部屋としダニングキッチンにリビングを併設したLDK(10畳〜)です。
両親と子供二人の家族には3LDK、単身者やカップル向けには1LDK等と今日において新築の物件ではほとんどはLDKばかりなのはご承知の通りです。
余談になりますが、リビング、ダイニング、キッチンに洗面所(パウダールーム)を一つにした住宅プランニンを「PLDK」、バスルームも一つにした住宅プランニンを「BLDK」と弊社では提唱しています。
▽詳しくは下記記事を参照ください。
新しいバスルームのカタチ〜BLDK PLDK新しい水回りプランニング〜
以上の様に、生活水準の向上のために、より広い部屋と専用のスペース(部屋)が生み出されて来たのが戦後からの住宅プランニングの流れになります。
それに平行して、住設機器や家具についても、もとは「ちゃぶ台」ひとつでなんでもこなしていた時代から、料理に特化したキッチン、食事に特化したダイニングテーブルセット、寛ぐ事に特化したリビングソファセット等と、単一機能をつきつめ機能や性能を向上してきました。
今日において、住居プランニングや住設機器や家具もどれも高い生活水準を生活者に提供してくれます。
しかし、生活水準も一定以上あがった今日において、生活の質だけでなく多様なライフスタイルを実現する事を望まれる方が増えてきております現在主流の住宅プランニングや住設機器や家具が、その多用なニーズに対応できる住環境を提供してくれるか?と言えば残念ながら否定せざるを得ません。
なぜそうなのか?と考えますと、住設機器や家具の性能やコストを追求するあまり、単一機能に絞られ過ぎており「遊び」がないのと、それぞれの観点で企画・製作される事からそれらが独立して、それらの「関係性」「連続性」が希薄だからかと考えられます。
住宅プランニングにおいても、施工性、コスト等合理的な観点から、それぞれのスペースの機能や用途を限定してプランニング、素材選定しているからだと考えられます。
2:用途・機能が限定されている今日のLDK空間
先ほど紹介したLDK空間の間取りについて見て見ますと、それぞれの場所は「料理をするスペース」、「食事をするスペース」、「寛ぐスペース」と機能が明確に分かれてしまっています。
なぜなら、カップボードは食材や食器類を収納する事を主軸に企画・製作されておりキッチンを料理する事を主軸に、そしてダイニングテーブル、TVボード、ソファも同じだからです。そしてそれら専用用途の住設機器・家具をLDKという広いスペースを分断させる配置にしているからです。
勿論、リビングのソファで食事をする、ダイニングテーブルで子供が宿題や、在宅勤務に仕事する場であったりしますが、主として考えられた機能ではありません。
主としての用途・機能を限定したスペースと住設機器・家具はその用途・機能を最高水準にしてくれます。キッチンの専用スペースで料理を作りに専念し、出来た料理は対面のダイニングテーブルにすぐに配膳でき、食後は生活感のでるキッチンから離れたリビングで寛ぐ…等
しかしながら、かつてキッチン(台所)は「家族の三度の食事を作る場」でしたが、現在において、キッチンは「家族の三度の食事を作る場」だけでなく、「親子で楽しく趣味のお菓子を作る場」であり、「友達を招いて皆で料理を作りパーテイをする場」等でもあったりするわけです。
一般的な対面キッチンでは、キッチンの料理する側と提供される側が明確に分かれておりキッチンカウンターを取り囲んでワイワイ皆で料理をする事はできません。
また、視覚的には一体の空間で広々と感じますが、料理をしていない時はキッチン及びキッチンスペース不要な存在で、料理するという単一機能の場は無駄でしかありません。
それらを改善するためには、単一用途・機能に限定されない家具やキッチンを、スペースの用途・機能を限定しないレイアウトにすれば、多様なライフスタイルにいかようにも対応し得る住生活環境が手にはいるのではないでしょうか?
3:スペースの用途・機能を限定しないキッチン及びプランニング
そこで、デザインされたのが WAILEAオリジナルキッチンです。
▽キッチンの詳しいコンセプトや説明は
構成としては
・コロ部分は別ですが 料理する側提供される側が規定されておらず、どちらからでも料理ができ、シンクも3方から仕様可能です。そうする事により、キッチンを取り囲んで皆で料理をする事でも出来きます。
・シンクとコンロの間にある広いカウンタースペースは料理する場だけでなく、パーティカウンターにもなります。
・カウンターが宙に浮いたデザインで下部キャビネットとの間に開口があり、視界を遮らないので、部屋の真ん中に配置しても、さほど存在感なく空間に溶け込みます。
・このキッチンは、デクトン、クォーツ、コールテン鋼、ちがった樹種の無垢材と様々なテクスチャの組み合わせが意匠コンセプトですが、それら素材を建築の床、壁、階段、他の家具の材料として使う事でより建築と一体化し空間を構成できるようにしています。また、シンクとコンロが離れており、間には広いカウンタースペースがあり様々な用途に使用できるので、キッチンという料理をする場の印象は薄く、料理をしていない時でも、無駄な存在・スペースにはなりません。
具体的に配置したのが下記プランです。
一般的なLDKプランニングのようにキッチンを端に寄せるのでなく、部屋のど真ん中に配置し両サイドにソファを置き、左側壁面全面に壁面収納を配置しています。
この壁面収納は、キッチン用品、TV設置、本棚と機能を限定しない収納なので人それぞれのライフスタイル及びライフスタイルの変化に柔軟に対応できます。
寛ぐソファスペースも複数あり、違う事をしている家族も一つの空間を共有できますし、食事するスペースも複数あり、気分に応じて、窓際の席やキッチン近くの席で等と変化に富んだ生活が出来ます。
このように、機能を限定しない住設機器・家具をスペースの機能を限定しないプランンングで配置する事により、空間デザインが統一され、すべての場が人それぞれのライフスタイルに自由に柔軟に対応できる場になると考えています。
キッチンに関する下記記事も合わせてご覧ください。
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