洗面所の間取り~洗面化粧台のレイアウトについて
ライフスタイルが多様化する中で、家の間取りもフレキシブルになってきています。特にリビングやダイニングという人が集まる場所は、そのレイアウトも様々に変化してきました。
一方で、洗面所はどうでしょうか。
家づくりの計画において、限られたスペースである洗面所をいかに広く使いやすくするかは、レイアウト(間取り)によって大きく左右されます。同じ面積でもレイアウトによって空間の感じ方も変わります。また、リビングやダイニング同様、理想の洗面所空間にするには、洗面所もよりフレキシブルに生活のしやすい動線が求められます。
一般的な洗面所におけるレイアウトから、これからの洗面所のあり方までお話ししていきます。
▽関連記事も併せてご覧ください。
【目次】
一般的な木造戸建て住宅に多い洗面所のスペースは通り芯で1820x1820つまり畳2畳サイズが多いのではないでしょうか。これは通常木造住宅は910モジュールで設計され洗面所の隣に浴室(UB)があるので合理的だからかと考えられます。
一般に洗面室の機能として「洗面機能」・「脱衣機能」・「洗濯機能」があるのでこの2畳スペースの洗面所の洗面化粧台レイアウトは必然的に下記のようなレイアウトになるかと思います。
浴室側に洗濯機なのか?洗面化粧台なのか?の違いがあり、また、洗面所への入り口の位置にもよるのですが、浴室側に洗濯器の配置が多いように見受けられます。理由としては、洗濯機の奥行と洗面化粧台の奥行を比較すると、洗面化粧台の奥行の方が小さいので奥行の小さいものを手前に配置した方が洗面室へ入った時の圧迫感が少なくなります。
また、洗濯作業をしている時には洗濯カゴなど床に置いて作業する事が多く、手前に洗濯機を配置してしまうと洗濯作業時、他の誰かが洗面化粧台への動線が損なわれてしまう等の理由が考えられます。
畳2畳スペースの洗面室で洗濯器も置くとなると、洗面化粧台のW(ワイド)寸法は最大で900mmが限界です。収納を増やすために洗面化粧台の上部を洗濯機置き場の上部に洗面室Wいっぱい吊り戸を設置する事はできますが、収納量は増えましたが、洗面カウンターWは広くできず、洗濯機が視界にはいるので統一感もなく、デザインもいまいちです。
なにかいい方法はないのでしょうか。
洗面室のスペース畳2畳から3畳にすれば解決できますが、その他のリビング等が小さくなってしまいます。そこで、洗面室周りの間取りにもよりますが、下記のような洗面室の間取りにすれば解決できます。
洗面室の間口を1間(芯で1820mm)ではなく、3/4間(芯で1365mm)にして、洗面室手前側の横に畳半畳の洗濯機置き場を組み合わせます。洗濯機スペース含め洗面室のスペースは畳2畳で変わりないですが、洗面化粧台のWは内法で≒1200mm程度取れる事になり先ほどの間取りより300mm程度大きくする事ができました。
洗面室に入って正面の両サイド壁いっぱいに洗面化粧台が設置でき、見た目もスッキリし空間も広く感じます。洗濯機上部に壁面と同じ位置まで収納を設置しすれば、収納量も非常に多くスッキリとした洗面室が出来上がります。
2:洗濯機スペースのない洗面所2畳レイアウト
次に、最近では家事動線を少なくするために、キッチン近くに洗濯機を設置する間取りもあります。
その場合、洗面脱衣室に洗濯機スペースを確保しなくてもいいので、大よそ内寸で1650mm程度とれ、広々とした洗面化粧台や収納家具を設置する事ができます。シングル洗面だけでなく、W=1500mm以上の洗面カウンターですとツイン洗面も可能で、慌ただしい朝など家族で洗面所が込み合う心配もありません。
また、このような場合の洗面化粧台の配置として下記2パーターンが考えられます。
A:入り口から入って正面に洗面化粧台
B:入り口から入って側面に洗面化粧台
どちらの場合でもL型にD=300mm程度の全面壁面収納を設置できるので、スペースの効率化的にはどちらも変わらないのですが、窓を設置したい場合、外壁面に面している壁がどちらか?入り口から入った場合の見た目は違うので、意匠・デザイン上の都合で洗面化粧台のレイアウトを決めれば良いかと思います。
逆に、他の居室(リビング等)を広くするために、機能を満たした上で洗面所スペースを小さくしたい場合はA配置とB配置には違いがあります。
UBのサイズが一定とすれば奥行寸法(約1650mm)は小さくできないので、間口寸法(約1650mm)を小さくする事になるので、Aタイプの場合、洗面カウンターのWは小さくならざる得ませんが、洗面化粧台をW=750mm程度まで小さくしてしまえば、畳一畳まで小さくできます。
Bタイプですと洗面カウンターの奥行を550mm、脱衣スペースを900mmにすれば、間口方向約200mm程度しか小さくできませんが、洗面カウンターW=1650mm程度とれて、ツイン洗面も可能です。
このように、洗面脱衣スペースに洗濯機を置かなければ広い洗面カウンターを設置できたり、洗面カウンターサイズのそのままで洗面脱衣室を小さくして他の部屋(リビング等)にあてたりできます。また、洗濯機をキッチン近くの家事室に置くことにより、料理の合間に洗濯ができ家事動線が短くなるメリットもあります。
しかし注意しないといけないのは、洗面脱衣室で脱いだ衣類を置いておき、洗濯機まで運ぶための洗濯カゴのスペースをとらないといけないという事です。洗面カウンターをフロートタイプにして、下部のオープンスペースにインテリアの一部として洗濯カゴを置いたり、洗面化粧台キャビネット内に洗濯カゴの置き場をつけて、普段は内部に収納しておくという方法もあります。
もしくは、洗面所と家事室を隣どうしに分けるという選択肢もあります。リラックスできる場としての洗面所と、洗濯など家事を行う家事室を分ける事で空間にメリハリができ生活にゆとりが生まれます。
そこで大切なのが、2つの空間を両空間からアクセスできる間仕切り収納でつなぐという事です。洗面所で脱いだ衣類等を間仕切り収納へ入れておけば、家事室側で受け取る事ができ、生活の流れがとてもスムーズです。洗面所はまるでホテルの様にすっきりとした空間になるので、ゆったりと過ごすことができます。
3:洗面所3畳レイアウト
次は、洗面脱衣室のスペースが芯で間口2730mm×奥行1820mmの場合です。
洗面化粧台のスペースは洗濯機を置かない畳2畳レイアウトを同じ程度以上とれますのでツイン洗面も可能ですし収納量も十分確保できます。畳2畳のレイアウトの横に洗濯機置き場を持ってくるタイプの場合、浴室とは反対側に洗濯機置き場をもってくる方が生活動線が交差せず使い勝手が良いです。
この配置で収納量を増やすために上部に吊り戸を設置できますが、その場合洗面化粧台の上部だけでなく、洗濯機置き場上部までつまり洗面所間口いっぱいに吊り戸を設置すると洗面所に入った時の見た目がスッキリします。
特に洗濯機置き場を収納家具内に設置して、洗濯機を隠した場合は特に、洗濯機置き場の扉位置と吊り戸の扉位置を合わせる事により洗面所空間の統一性がでて見た目も綺麗で収納量も確保できます。
横一列配置ではなく、L型に洗濯機置き場家具、洗面化粧台を設置すると平面的に見れば収納面積は横一列配置より多いのですが、洗面カウンターより下面の角スペースの収納アクセスに難があり(洗面カウンターしたからのアクセスになる)ますので、洗面化粧台はカウンターだけで下部に収納家具を設置したくない場合に向いています。
横一列レイアウトでも同じ事が言えるのですが、ツイン洗面に対して、鏡を横につながった形「A」にする場合と、それぞれ独立した縦長の鏡2個設置する「B」なのかで、洗面所空間の印象を変わってきます。
横一列にする場合は鏡の大きさも鏡上部で床から高さH=1800mm程度でH=600mm程度にして、鏡上下に間接照明を入れる等すれば横ラインが協調され横に空間の広がりを感じますし、逆に縦長鏡2個の場合、W寸法はW450mm程度に高さはできる限り天井位置まで大きくし、両サイドに間接照明を設置等すれば、縦ラインが協調された空間になります。
ミーレーやAEGなど海外メーカーのビルトイン洗濯機であれば、H=850mmのカウンター下部に納まりますので、間口(≒2600mm程度)いっぱいのカウンターや鏡を設置できて、よりスッキリと圧迫感のなく広々とした洗面室になります。洗濯の選定が限らるのと、洗濯時腰を屈めるので使い勝手はあまり良いとは言えませんが、洗面所の空間重視でいくなら選択の余地があるかと思います。
尚、ツイン洗面の場合、家族の人数が多く身支度時の混雑緩和に有効ですが、一方でお風呂を使用する場合は、脱衣スペースの点から結局一人しか使えないという問題もあります。そこで、脱衣スペースをつくる事でその問題を解決できます。その際にポイントなのは、ただ単に脱衣スペースを分けると狭くなってしまうので、分ける扉を引き戸にし、脱衣スペースを使用していない時は完全にオープンにします。そうする事で、フレキシブルな使い勝手のよい空間となります。
さらに、洗面室と脱衣スペースを分けるのであれば、洗面室は閉ざされた個室にする必要はなく、本来廊下として使用しているスペースも洗面室の一画として広く使用することが出来ます。
関連記事
新しいバスルームのカタチ
4:洗面所1.5畳レイアウト
洗濯機スペースのある洗面所のスペースで最少は畳1.5畳サイズになります。
限られたスペースに収納量を確保すると圧迫感がでてさらに狭く感じていしまいます。
その場合、通常見る方向つまり洗面カウンター側には上部吊り戸は設置せず、縦長の鏡を設置する事により上方に開け、圧迫感を感じさせず、また洗面カウンター下部の収納も床から浮かせる事により、立ち位置の視線で洗面カウンター位置の床も視界に入ってきますので、実際のスペースより広く感じるのでお勧めです。
洗面所の解放感を上げるため、また浴室の解放感を上げるために浴室との隔てをガラス貼りにする事があります。その場合のレイアウトについてお話したいと思います。便宜上洗濯機置き場は別にある事とします。浴室部に対して、バスタブの配置は【図18】のガラス隔てと平行か、
【図19】のガラス隔てと直角の2通りですが、
直角の場合浴室の奥行が広ければ【図20】、ガラス隔てとバスタブを離して設置(掃除等しやすいように最低W200mmぐらいは欲しい)できるので、全面ガラス張りにできますが、
奥行がバスタブの長さと同じであれば【図21】全面ガラス貼りにできす、バスタブの高さまで腰壁を設置する事になり、洗面所と浴室の一体感は損なわれてしまいます。
ですので、バスタブが特に理由がない限り、寸法的に設置できるのであれば、浴室の奥 つまりガラス隔てを平行に配置するが望ましいです。次に洗面化粧台の配置もガラス隔てに直角【図22】か、
平行【図23】の場合があります。
直角【図22】の場合ガラスとの間にスペースを取らないといけない(全面ガラス貼りの場合)と設置可能な洗面カウンターW寸法が平行配置より小さくなります。しかし、洗面使用時の立ち位置でバスタブ側に空間がつながるので広々とした解放感があります。先に述べた通りバスタブが直角配置であれば腰壁の設置が必要なので、その腰壁までカウンターを伸ばす事はできます。
平行配置の場合、洗面カウンターW寸法は間口いっぱいとれますが、洗面使用時の立ち位置でガラス張りの浴室を背にする事になるので空間の広がりはあまり感じられません。洗面所への入り口扉位置により入った時の空間の広がり、見え方印象が違うので、それぞれ一長一短ですが洗面所空間と浴室空間の一体感を持たせるには、ガラス隔てに対してバスタブは平行配置、洗面カウンターは直交配置がいいかと思います。
バスタブ、洗面カウンターのレイアウトだけでなく、ガラス隔ての浴室にして、その良さを感じるためには、浴室に床仕上げと洗面所の床仕上げを同じにする事。また、洗面所の壁と浴室の壁を同面にして(段違いにしない)仕上げも同じにする事が大事です。
特に、壁面を同一ラインにしないとガラス隔てにして空間を一体化したように感じないので重要です。しかし、施工的に少しやっかいな問題があります。浴室が在来工法であれ防水が必要ですし、UBであればなおさらスペースがいるので、構造柱(壁)からの仕上げ面が洗面所と浴室では変わってきます。
それを解消するためには構造柱(壁)位置より、脱衣所の壁面仕上げ位置をふかして同面になるようにする必要があります。
ガラス隔てのデザイン性を確保するために100~150mm程度スペースを犠牲にしたという事です。但し、逆にそのフカシ壁に鏡収納を埋め込む事により、フカシ壁を有効利用し、収納付か鏡であるが、壁面からでっぱらず圧迫感がないというデザイン処理も可能です。
この案件では、浴室と洗面所の壁面を統一し同じ仕上げするだけでなく、浴室内の鏡を洗面所の方にも伸ばす事によりより空間に一体感を可能としています。
また、別事例ですが、脱衣所の棚と浴室の棚を一体化させて、より空間の一体感を出す事もできます。
さらに、WAILEAでデザインしたSANEIのmorafaシリーズに水栓を使用すれば、水栓の姿を消して連続性、一体性をだすとともに、
木目パネルなどの装飾を施すことにより、デザインの幅も広がります。
以上のように、通常の洗面所のレイアウトや浴室をガラス張りにして洗面所と浴室を一体化したレイアウトについてお話してきました。一般に、浴室の横に洗面所を配置した住宅プランが多いです。生活動線を考えると洗面所に脱衣室兼洗濯室を持たせる事がスペース的に合理的だからです。
しかし、毎日のグルーミングや人によりお化粧をされるスペースである洗面所が浴室の横にある住宅プランですべての人のライフスタイルにとって良いかと言われればそうとも言い切れないかと思います。浴室の横に脱衣室は設けるとして、洗面所はほかの場所(ホールやリビングと一体化して)に設置すれば理想のライフスタイルが叶うかもしれません。
また、洗面脱衣室は毎日使用する空間ではありますが、使用する時間は限られています。一日の多くは洗面所スペースはクローズです。洗面スペースをリビングと一体化できれば空間をもっと有効利用できるかもしれません。
それら様々なライフスタイルに応えるため、また新たな住空間の在り方の提案を行っております。詳しくは新しいバスルームのカタチをお読みください。
洗面所の採光、換気の点において窓を設置するのが望ましいです。また洗面所という限られたスペースで窓を設置するので、窓の大きさ位置は特に重要です。そこで、新築で家を建てる場合は、窓(開口位置)が決まってから洗面台を決めるのではなく、どんな洗面所にしたいか予めイメージを決めてから建築開口位置を決めると、理想の空間を手に入れる事ができます。
洗面所のレイアウトについてお話してきました。また理想の洗面所空間を実現するためには、レイアウトだけ考えて確保できたスペースにメーカー既成の洗面化粧台を設置するだけでは理想を実現できない場合もあります。そのような場合は洗面化粧台をオーダーするのも一つの手です。オーダー造作洗面化粧台についての記事もあわせてお読みください。
WAILEAはお客様の理想の住空間を実現するために、オーダーキッチン・洗面化粧台の制作、インテリアデザインを賜っております。ご相談は無料ですのでお気軽にお問い合わせください。
東京・表参道、大阪・御堂筋にショールームがございます。是非、お気軽にお立ち寄りくださいませ。